春の臓器『肝臓』の食薬 -チームで成り立つ但馬の小麦-

4月27日に開催された食と健康講座「春の臓器『肝臓』の食薬 -チームで成り立つ但馬の小麦-」の講師、坂本まゆみ先生によるレポートです。

内容

  • 陰陽五行で、春は「上昇の季節」
  • 老廃物の少ない“良い血液”が必要!沈黙の化学工場「肝臓」
  • 腸の調子を整える→結果、肝臓や胆のうの働きもよくなる
  • 肝臓を養う食べ物→穀物のおすすめは「麦」
  • 食べ方のコツ「小食・素食」
  • 有機小麦「鴻巣25号」と有機JAS→ナカツカサファーム中務喜紹さん

まとめ(講座のダイジェスト版です)

1)陰陽五行で、春は「上昇の季節」

発芽・芽吹きの季節の春、動物や虫たちが冬眠から目覚めるように、人間も軽やかに外に出たくなります。自然界のエネルギーが上へ上へと上がるために、自然と体も心もウキウキワクワクしてきます。新しいはじまりや朝のスタートを快活にスムーズに運ぶためにも、『肝臓が元氣である』ことが大切です。 春はデトックスの季節のため、持病やじんましんなどの皮膚症状も出やすい時ですが、出る・出すという「排泄」は、身体にとってはとても良いこと!代謝を助け、中和をさせる食べ方と過ごし方を心掛けることで快適 に過ごせます。

2)老廃物の少ない“良い血液”が必要!沈黙の化学工場「肝臓」

「沈黙の臓器」と言われる肝臓の名のとおり、とても我慢づよく頑張り屋の臓器で、 相当なオーバーワークになるまで自覚症状が出ないと言われています。右の肋骨の下にあり、1~1.5 ㎏(大人で体重の約1/50)の大きさで最も大きな臓器です。

肝臓は、体内に取り込んだ物質の『解毒と代謝と血液浄化機能』を担っていて、体内に入った油脂・脂肪・添加物や農薬などの化学合成物質を処理、アルコールや毒物の分解、脂肪分解のための胆汁を作り出すなど、最大のデトックス臓器とも言えます。食べ物を分解、神経や脳や筋肉や骨に必要な成分を合成したり、余った栄養素を空腹時のために備蓄までする大役を担うなど・・多くの仕事をこなす化学工場!消化に使うエネルギーが体内で一番パワーが要るのです。

3)肝臓を養う食べ物→穀物のおすすめは「麦」

春は上へ向かう自然界のエネルギーが高いので、私たちが口にする食べ物も、地球の中心から太陽へ向かって伸びる上昇のエネルギーが高い食材が多く出回り始めます。特に穀類だと「麦類」!麦は、上へ上へ伸びる「上伸野菜」、太陽に向かって上に成長する穀物の中でも特にエネルギーの高い食材のひとつです。青菜を多めに油やたんぱく質の多いおかずを特に控えめにすると肝臓がきれいになり、デトックスを促してくれます。

さらに麦類に豊富なのが「食物繊維」。そのおかげで便秘解消、腸内環境の改善、美肌効果など、体に嬉しい効果がたくさんあります!腸を整えた結果、肝臓や胆のうの働きも善くなり、良い血液の巡りに繋がるのです。

4)食べ方のコツ「小食・素食」

肝臓への特効薬は「断食」。肝臓は、食べずに肝臓や消化機能を休めれば、回復する力も強いと言われる臓器です。動物もケガをしたり不調の時には、断食をしてじっと身体をやすめて治します。本来人間も同じです。不調の時こそしっかり食べて!と勘違いしている人が多いように思います。脂肪の溶ける温度(脂肪融点)が高いお肉や乳製品などの動物性脂肪も肝臓への負担が大きいのです。まずは、動物性食品をはじめ消化・分解に負担のかかるものの食べ過ぎを控え、臓器への負担を減らして元の働きに整えることが大切です。