食と健康講座 梅の秘めた機能に迫る! 『梅干しで医者要らず』
6月22日に開催された食と健康講座「梅の秘めた機能に迫る! 『梅干しで医者要らず』」の講師、坂本まゆみ先生によるレポートです。
内容
- 梅雨は湿熱=カラダに湿気や熱が溜まりやすい時期
- 意外と知らない!?唾液の持つ驚くべきパワー!
- 梅雨の養生に伝統食材『梅干し』のチカラ!!
- 梅干しのおむすびは「最強のファストフード」
- 胃腸の不調に抜群!『梅醤番茶』
- 農家 田中始さんと梅干しを作ろう!
まとめ(講座のダイジェスト版です)
1)梅雨は湿熱=カラダに湿気や熱が溜まりやすい時期
この時期の不調の最も大きな原因は、「自律神経の乱れ」によるものという考えが一般的ですが、東洋医学では、梅雨の時期のカラダには湿気や熱が溜まりやすく巡りが悪くなるとされます。特に胃腸はその影響を受けやすく、その湿や熱を取るために、食事の際には、ねぎやみょうが、大葉や生姜などの薬味を摂ると良いと言われています。
さらに、25年ほど前、名古屋市立病院で「痛み外来」を担当し、問診で「天気が悪くなると痛くなる」と訴える人が多かったことから、雨が降ると古傷が痛むという民間伝承を最新医学で検証、日本でただ一つ!初診は一年待ち! 『天気痛外来』 愛知医科大学、佐藤純先生によると、人には気圧を察知するセンサーの様な能力が耳の奥にある「内耳」にあると証明。飛行機に乗るとキーンと耳が痛くなる人、車酔いする人などは、気圧の影響を受けやすいと言われていますので、特に梅雨時には注意が必要です。
2)意外と知らない!?唾液の持つ驚くべきパワー!
唾液は、顔の両側に2つずつある耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)などの大唾液腺で9割が分泌され、残りは口の中全体に分布している小唾液腺から分泌されています。
99%が水分という唾液の、残り1%に含まれている消化酵素は、ごはんやパンなどのでんぷんを麦芽糖に変えて腸内での吸収を促し、リゾチームや免疫グロブリンなどの抗菌物質で口の中を殺菌し、口の中の細菌の増殖を抑えています。
歯や歯間に付着した食べかすを洗い流す自浄作用もあり、虫歯予防も唾液の重要な役割!食事をすると虫歯菌が出す酸で、歯のエナメル質が溶かされて初期の虫歯が発生しますが、唾液に含まれるカルシウムとリン酸がそれを修復するという作用を繰り返しています。
さらに、唾液のお陰で、味を感じたり噛んだり飲み込んだりしやすい「塊」にすることで、食べた物をスムーズに飲み込むことが出来るのです。
また、唾液が出ないと口が乾き、喋りずらいという経験をした人もいらっしゃると思いますが、 唾液に含まれるムチンが粘膜を保護し、発声をスムーズにする役割もあるので、水分を摂ることも良いのですが、「唾液をしっかり出す」ことが重要です。そのためには、冒頭に記載した、耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)をしっかりマッサージして唾液の分泌を促しましょう。
3) 梅雨の養生に伝統食材『梅干し』のチカラ!!
- 殺菌作用・整腸作用:ご飯を腐りにくくすることで知られるカテキン酸は殺菌の働きと共に消炎などの整腸機能も認められています。
- 血流促進作用:血の巡りをよくして体を温めます。梅干を漬ける時に使う「塩」が体を温めます。長期間熟成させる事も体を温める要素です。
- 解毒作用:梅の成分であるピクリン酸、クエン酸が乗り物酔い、二日酔い、食中毒やウイルスの増殖を抑制するだけでなく、万病の元「疲労」を回復したり、疲労物質が作られるのを抑えてくれる働きもあるのです。それは、腎臓、肝臓の働きを助けているからです。
- 梅干しはトースターや魚焼き器で梅干しを焼くと、通常の梅や梅干しには含まれない 「ムメフラール」という成分が作られます。このままで食べても良いですが、番茶などに 入れて飲むと吸収しやすく食べやすいと思います。このムメフラールという成分が、 血液をさらさらに巡りを良くしたり、抗酸化作用を発揮し、さびにくい体を作る手伝い や、インフルエンザの人体への感染を予防したり、細胞内で増殖したウイルスの他人 への感染を阻害する働きがあります。
- クエン酸は体内へのカルシウム吸収をよくする働きもあり、骨粗鬆症予防にもなります。
- クエン酸が疲れの原因である「乳酸」を炭酸ガスと水に分解して体外へ出し、疲労回復を助けてくれます。
4) 農家 田中始さんご夫婦と「はじめての梅干し作り」
講座に参加された皆様で、南高梅1kgと塩180gで、塩18%以上で梅を塩漬けします。減塩するとカビが生えますから、しっかりとした塩分が必要です。ヘタを取り、各々、自分の梅を持ち帰り、自宅で梅の量の2倍の重石をすると、3日で梅酢が上がってきました。私は紫蘇を入れない「白梅干し」にしました。後は梅雨明けを待つばかりです。