食と健康講座 食べ物の毒・血の毒・水の毒を断つ! 梅の秘めた機能に迫る!『梅干しで医者要らず』
6月2日に開催された食と健康講座「食べ物の毒・血の毒・水の毒を断つ! 梅の秘めた機能に迫る!『梅干しで医者要らず』」の講師、坂本まゆみ先生によるレポートです
内容
- 昔ながらの本当の梅干しを選ぶコツ!
- 梅干しは胃腸の味方!じめじめ梅雨に最強食材!
- 唾液の分泌促進!カラダの持つ驚くべきパワーを引き出す!
- 万病予防に最適!血の巡りを良くしてカラダを温める!
- 伝統食材:梅干しの効果は書き尽くせないほど素晴らしい!
- 梅干しのおむすびは「最強のファストフード」
まとめ
昔ながらの本当の梅干しを選ぶコツ!
原材料が「梅・食塩・しそ」のものを選びましょう!これ以外で入っているとすれば、長期保存できるように食品添加物が添加されています。これについては、「安い梅干しと高い梅干しの違い」を含め、ガンピー穀物倉庫稲垣氏より詳しく説明されました。また、梅干し農家の田中始さんと奥様も参加されており、貴重なご意見を頂きました。(田中さんの梅干しは写真を参照して下さい。)
唾液の分泌促進!カラダの持つ驚くべきパワーを引き出す!
旧ソ連の生理学者、イワン・パブロフが犬を実験台にして唾液腺(だえきせん)の研究をしていて、飼育係の足音で犬が唾液を分泌していることに気づいたという実験で偶然発見した動物の反射行動「パブロフの犬」のエピソード・・私達も同じで、以前食べたことのあるごちそうを目にすると、そのときの「おいしかった」という経験が、食べる前から唾液の分泌を自然に促します。梅干しやレモンについても、すっぱいという強烈な味わいを知っているから唾液が出てくるのです。
唾液(1日1~1.5ℓ)は、99%が水分、残り1%に含まれているのが消化酵素。 顔の両側に2つずつある耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)などの大唾液腺で9割が分泌され、残りは口の中全体に分布している小唾液腺から分泌されています。当日は唾液の出にくい方もいらっしゃったので、食前の唾液腺マッサージの方法を全員で実施しました。
唾液の効用は、味を感じる・飲み込みやすくする・発音しやすくする・殺菌作用・虫歯予防・歯肉炎や歯周病予防・消化促進など・・特にご飯やパン等のでんぷんを腸で吸収しやすい形に変えます。殺菌作用は非常に強いのですが、現代の子供たちが免疫力が弱く、すぐに病気になる背景には、咀嚼(噛むこと)不足によるものが大きいと警鐘を鳴らす医師も多くいます。しっかり噛むことで唾液を促しましょう!!
万病予防に最適!血の巡りを良くしてカラダを温める!
梅干しには、「リンゴ酸・クエン酸・酒石酸などの有機酸」が含まれます。有機酸は抗菌作用 が強く、特にリンゴ酸の作用が凄いのですが、梅干しを食べてすっぱいと感じるのは、酸の 仕業なのです。
海苔の養殖でも、菌から海苔を守るため、若くデリケートな青のりの段階でリンゴ酸やクエン 酸に漬けて育てるという話を前回しましたが、酸は病原菌に強いので、酸性の液に海苔を 浸すことで病気を予防するのです。これだと不純物が取り除かれるので、きれいな海苔が できます。ただ、この処理を使うと海水が汚染される恐れがありますので、できれば、酸処 理されていない本物の海苔を食べて頂きたいです。(ガンピーさんで取り扱う海苔は写真 を参照して下さい。)
さらに、梅干しはトースターや魚焼き器で梅干しを焼くと、通常の梅や梅干しには含まれな い「ムメフラール」という成分が作られます。このままで食べても良いですが、番茶などに入 れて飲むと吸収しやすく食べやすいと思います。このムメフラールという成分が、血液をさらさらに巡りを良くしたり、抗酸化作用を発揮し、さびにくい体を作る手伝いをしますよ。
伝統食材:梅干しの効果は書き尽くせないほど素晴らしい!
- 防腐効果:ご飯と一緒にお弁当に入れておくと腐りにくい。
- 免疫力アップ:食中毒やウイルスの増殖を予防する。
- 疲労回復:疲労物質が作られるのを抑えてくれる。
- ダイエット効果:クエン酸が体内に取り入ることで中性脂肪が燃焼されやすくなる等・・
梅干しのおむすびは「最強のファストフード」
ドイツ帝国の医師・ベルツの日記から抜粋した、日本食の素晴らしさをお伝えしました。 当時、東京医学校(後の東京大学医学部)において医学や栄養学を教授した彼が、ドイツ の栄養学が日本人には全くあてはまらず、日本人には日本食がよいという事を確信せざる を得なかった東京から110km離れた日光に旅行した際の体験で下記のエピソードを残し ています。
当時、道中馬を6回乗り替え、14時間かけやっと辿り着いた。しかし、二度目に行った際 は人力車を使ったのだが、なんと前回よりたった30分余分にかかった(14時間半)だけで 着いてしまった。しかもその間は一人の車夫が交替なしに車を引き続けたのだった。の体 力はいったいどこから来るのだろう。ベルツは驚いて車夫にその食事を確認したところ、「玄米のおにぎりと梅干し、味噌大根の千切りと沢庵」という答えだった。聞けば平素の食 事も、米・麦・粟・ジャガイモなどの典型的な低タンパク・低脂肪食。もちろん肉など食べな い。彼からみれば相当の粗食だった。
そこでベルツは、この車夫にドイツの進んだ栄養学を適用すればきっとより一層の力が出 るだろう、ついでながらその成果を比較検証してみたいと、次のような実験を試みた。「ベル ツの実験」である。22歳と25歳の車夫を2人雇い、1人に従来どおりのおにぎりの食事、 他の1人に肉の食事を摂らせて、毎日80kgの荷物を積み、40kmの道のりを走らせた。 然るところ肉料理を与えた車夫は疲労が次第に募って走れなくなり、3日で「どうか普段の 食事に戻してほしい」と懇願してきた。そこで仕方なく元の食事に戻したところ、また走れる ようになった。一方、おにぎりの方はそのまま3週間も走り続けることができたというのだ。
当時の人力車夫は、一日に50km走るのは普通だったという。ベルツの思惑は見事に外 れたのだった。彼はドイツの栄養学が日本人にはまったくあてはまらず、日本人には日本 食がよいという事を確信せざるをえなかった。また彼は日本人女性についても「女性におい ては、こんなに母乳が出る民族は見たことがない」とももらしている。それらの結果、帰国後 はかえってドイツ国民に菜食を訴えたほどだったという。